いま、日本の平均初婚年齢は夫が30.7歳、妻が29.0歳となっています。
いわゆる適齢期と言われるものは時代によって前後しますが、27歳前後とされており、自分がそれくらいの年齢になると焦りを感じる人もいるのではないかと思います。
また、35歳を過ぎると、婚活をしても男女ともに結婚をするのが難しくなると言われています。しかし、「結婚はもう諦めた」 「自分には縁がない」と思っている人も、いま一度「結婚」というものについて考えてみてはいかがでしょう。
付き合っていて結婚を急ぐ彼女がプレッシャーに感じて疎ましかったり、逆に良い年齢になってもいつまでたっても結婚を嫌がる彼氏など、適齢期くらいの年齢になると結婚に対する意識について考えさせられる瞬間がちらほらと出てきます。「結婚は勢い」ともいいますが、果たして勢いで結婚しても良い結果にはなるのでしょうか?
結婚をすれば、そうしようと意識していなくても生活や人生に変化が訪れます。親戚づきあいや社会的な立場、または生命保険や扶養の仕組みなど、あらかじめ知っておかなければいけないことは色々とあります。結婚をすることには経済面や社会生活の上でのメリットがいくらかありますが、人によってはデメリットを感じることもあるのではないかと思います。
結婚願望がある人も、結婚について一度は迷ったことがある人も、具体的に「結婚をすることの意味」について、今の自分の状況と将来の目的などと照らし合わせて考えてみましょう。
参照元:厚生労働省「平成 28 年度 人口動態統計特殊報告 「婚姻に関する統計」の概況」
時代と男女の結婚観の違いとは

「結婚」というものの本来の意味とは、どんなものがあるでしょうか。なぜ日本の男女は自由恋愛だけではなく、一夫一妻制で結婚をして家庭を持つのでしょうか。おそらく、「子供を育てる」という点が重要な部分になりそうですが、現代ではどのように変化しているのか、気になりますね。
また、「恋愛結婚」と「お見合い結婚」でも価値観に差がありそう。筆者の知り合いには「結婚は恋愛の延長線上にはない」と言う人がいますが、好きな人と結婚をしたとして、どのような困難があるというのでしょうか?その理由も探ってみたいところ。
現代では「夫婦別制」や「同性婚」の実現に向けて多くの先進国が動いていますが、日本ではまだまだ一般的な理解も追いついていません。「養子」という形で子供を持つこともかなり稀なことです。「結婚をすること」そして「家族を持つこと」ということに関して、世界では意識が変わりつつありますが、その日本と世界との格差も比べてみましょう。
では、まずは「結婚」というものの根本的な意味について紐解いていきましょう。
「結婚」にはもともとこういう意味がある
結婚の意義とは「男女の間で夫婦関係を生じさせる法律行為」とされています。また、「婚姻」とは広辞苑では、
と表記されています。つまりは、結婚とは法律上では「男女お互いが法的に独占できる関係であり、その子供が戸籍上でその夫婦の子供であると認められること」であり、「性的関係」と「子供をつくる」という問題において「お互いだけとしか関係を持たない」と責任感を持って約束をするということになります。
自由に恋愛をするのが一般的である現代日本では、婚姻前に誰と肉体関係を結ぼうがあまり人に文句を言われませんが、昔は婚姻する前に恋人同士でも肉体関係を持つことははしたないこととされていました。日本は明治時代から単婚制(一夫一妻制)の国であり、ひとりの夫、妻とだけ婚姻関係、つまりは肉体関係を持つことが許される、という認識でした。
また、結婚も「お見合い結婚」など、親が決めた結婚によって夫婦は「両家を結ぶ」という役割もありました。時には「ミニ政略結婚」ともいえるようなビジネス上での取引で、たとえば問屋と仕入先の家につながりがあった方が仕事がスムーズにいくから、などの理由で結婚させられることもあったと思います。
現代のように恋愛結婚が許容されるようになったのは、第二次世界大戦後です。
現代ではどう変わった?
大戦後、「ロマンチック・ラブ イデオロギー」という考えが浸透し、日本でも両家がくっつくメリットを取るよりも、個人の了承を得ない結婚は避けられるようになりました。合理性よりも、夫婦間の愛情を重視した結婚が一般的になっていったのです。それによって、平均初婚年齢の上昇、つまり「晩婚化」も進んでいきます。
また、お見合い結婚でも両者にお互いへの愛情が生まれるかどうかを重視されます。昔は結婚、出産にまつわる夫婦の性的関係も「子供を産む行為」として重視される側面があったかもしれませんが、現代ではより「個人の心」というものを考えられるようになったのです。
極端なたとえかもしれませんが、「夫が狩りをして食料を確保し、妻が料理して家庭を守る」といったような昔の時代では、個人の気持ちを尊重していては社会が成り立たなかったのでしょう。資本主義経済になり、食料も物資も身の回りに溢れるほど充実している現代でこそ、そういった人の自由意志を尊重するということができるのかもしれません。
よって、現代では独身でも男女共に食事に困るようなことにはなりません。ほとんどの人が「家業を継ぐ」という必要もないので家のために結婚する必要もなく、兄弟のうちだれか1人でも結婚すれば家族の墓も無縁仏になることもありません。現代において「結婚」という意味には、合理性よりも夫婦お互いにおける安心感などの「精神的な充実」というものが最も重視されているのです。
ただ、「相手を好き」というだけでは結婚生活が成り立たないという現実もあるよう。
「恋愛」と「結婚」は別物!?
筆者の知人いわく、「夫婦は生活共同体です。結婚は恋愛の延長線じゃない!」とのこと。結婚は相手のことを好きだけではやっていけない、ということですが、はたしてどのような現実が「結婚」というものには待ち構えているのでしょうか。
大きな部分では、「経済面」という部分もあるでしょう。もし、夫婦どちらかが音楽家や美術家などのアーティストの場合、売れるまで片方の金銭的サポートを必要とします。また、相手のことが好きじゃなくても、収入が多いから、というだけで結婚をするパターンもよくあることです。
そして、いくら現代で色々なしがらみに左右されず結婚ができるとしても、「恋愛」と「結婚」は別物のようです。
たとえば、片方が結婚、もとい「共同生活」に向いていない場合。些細なことで相手と意見が合わずにイラついてしまうと、「ひとりでいた方が良かったな」と思うこともありそうです。また、収入も家事なども生活の全てを片方だけが負担して、もう片方がニートのような状態で何の協力もしない場合には、結婚生活の「悪意の放棄」と呼ばれる、離婚ができる理由にもなります。
相手のことがいくら好きでも、「恋人」という状態はお互いの生活に責任があるわけではありません。しかし、「結婚」となると、相手の負の面や経済力を共有するなど、お互いのバランスが成り立たないと片方にばかり負担がかかってしまうので、健全な関係とは言えなくなってしまいます。どちらかのストレスが溜まっていくと、日常生活の些細なことがきっかけの夫婦喧嘩も増えていきそう。
ただし、「好きな人と結婚をすることが本当の幸せかどうかわからない」と言う人もいますが、合理的に結婚をするよりも、自由に恋愛、結婚が許されているこの現代社会で、デメリットがあるとしても愛する人同士で踏ん張ってみるという経験を人生で一度はしてみてもいいのではないかな、とも思います。
結婚に向いていないタイプとは
結婚は、法的に「夫婦お互いを独占できる」という関係であり、また「生活を共同する相手」でもあります。そして、希望する場合はいずれは子供を授かる可能性もありますから、「子育てをする」という点でも、夫婦共に協力をし合わなければいけません。
「絶対的に結婚に向いていない」といえるような人も世の中にはいます。巷でよくある話として、「家事も子育ても協力してくれない夫が憎い、死んで欲しい」というような物騒な話もありますが、もしその夫が家庭の収入も支えることすらできなければ、即刻離婚をされるでしょう。そうでないということは、夫は妻に「喋る憎たらしいATM」として扱われているのみなのです。
そこで、「結婚に向いていない人格」というものをリストアップしてみました。たとえ結婚願望があったとしても、これらに当てはまったらその点を矯正するなど、人として成長をしてからではないと結婚生活は苦難の連続になってしまうでしょう。主に相手のことを深く傷つける可能性があります。
- 浮気性である
- 妻もしくは夫のことを愛していても、他の人との性的関係をやめられない、という人。万が一にも非嫡出子が生まれてしまうとその子供にまで多大な苦労をかけることになります。夫婦のみならず、その周りの人間関係をも破壊するタイプ。
- 極端に生活力がない
- 料理も掃除も経験がほとんど無く、家族にやってもらって育ってきた上、今後やる気もない、という人。収入が人並み以上あり、結婚相手に財布の紐を握らせているのもない限りは許されません。いずれはパートナーに目の敵にされるでしょう。
- 多大な借金を背負っていることを相手に黙っている
- 時に奨学金などの教育ローンも、莫大な金額になることもあります。相手に打ち明けて、理解をしてもらえれば良いですが、ギャンブルなどで作った借金をパートナーに黙ったまま結婚するのは詐欺罪にも値するので、相手に借金を黙って結婚してはいけません。また、「結婚したらギャンブルはやめる」というセリフには期待しない方がいいでしょう。
- 浪費家である
- 給料をその月のうちに全部使ってしまう、貯金ができないタイプ。趣味に費やすのもいいことですが、結婚をするとなると相手の生命にも責任を持つことになりますから、いざという時の医療費など捻出できなければアウトです。
- 潔癖症である
- 部屋にホコリ一つあっても嫌だ、物が元あった場所から移動することが許せない、というほど几帳面なタイプは、人と一緒に生活できないと思います。もしくは、自分の生活のルールを曲げるのが嫌だという人も、結婚に向いていないでしょう。
これらの特徴に当てはまったとしたら、これらのような致命的な欠点があったとしたら、それを補うほどの魅力を持ち合わせていないと、結婚は無理でしょう。よほど気の合う人、理解のある人でも、相手の悪い面をいちいち許すことはできません。自己愛が強すぎる人も、相手より自分の都合を優先しては結婚生活を平穏に続けるのは難しそうです。
しかし、現代で必ずしも「結婚」をしなければ社会不適合者の烙印を押されてしまうのか、といえば、そうでもないかもしれません。
結婚はしなければいけないの?
現代は「家督制度」もなく、財産分与権も家長になる子だけではなくなり、親の仕事を子の代にと代々仕事を受け継ぐ必要もあまりありません。女性も、まだまだ日本は男女不平等ですが、独り身でも健やかに生きていける時代です。
そんな中、「結婚という制度は社会の仕組みとして破綻している」という意見も出てきています。「集団婚」や子育てのコミュニティが自然と存在していた時代ではなく、どこか「合理性」から離れて宙ぶらりんになっているところが、そういういわれの原因になっているかもしれません。「結婚」が「感情」や「絆」の分野になってから、それが顕著に現れてきたのでしょう。
よって、現代社会において「結婚」は必ずしもしなければ「人生が詰む」ということはありません。お金を稼いで福祉を利用すれば老後も孤独死は避けられますし、友達を大切にして家族のような存在にすれば寂しくならないでしょう。もはや「いかに結婚を早くするか」ではなく、「いかに社交性を鍛えて人を大切にできるか」という課題が重要になっていると思います。
要するに、結婚も友情も、「いかに家族以外の他人とも絆を深めることができるか」ということが大事なのではないでしょうか。また、生きていくに十分な収入をどう満足して稼げるか、という課題も、男女関係なくなってきています。
本当に自立していて、収支も人間関係も不足がなければ、恋人とも結婚をする必要も無いのかもしれません。ポリアモリーという性生活の選択肢もありますし、同性婚という選択もいずれは日本でも可能になるでしょう。「産めよ増やせよ」の時代では無いのですから、社会全体を通してみると、結婚をしないからといって誰にどんな文句を言われる筋合いもなさそうです。
先進的な「子育て」の意識
日本では婚外子(法的に認められた夫婦の間に生まれた子ではない子供)の割合がとても低い国です。婚外子の割合が40%にも及ぶアメリカに比べると、日本は2%あまりと20倍もの差があります。
参考:婚外子が増えれば日本の少子化問題は解決する? – ニューズウィーク日本版
少子化が年々社会問題として注目されていますが、この問題は日本の「世間体」の意識と経済が深く関わってきそう。
現代では、中南米やヨーロッパでは婚外子が出生率の半数も占めています。なぜそれが成り立つかというと、これらの国では
- 婚外子も差別を受けることもなく婚内子と同等の権利を持てる
- 結婚をしないカップル(事実婚)が増えている
- シングルマザー・ファーザーでも子供を育てられる経済的余裕
などが充実している、という理由がありそうです。
また、同性婚のカップルが非嫡出子や望まれない妊娠で生まれた子を養子にするという、血の繋がりを重視しない家族の形も増えています。日本ではまだまだポピュラーではありませんし、「周りの人と違う人を差別する」ような風潮など、マイノリティに対する差別意識が顕著なので、新しいムーブメントの中心に立つことは辛いですが、少なくとも「外の世界はこれほどまで進んでいる」ということは知っておいて損はないでしょう。
まだまだ、同性婚や夫婦別性などに対する一般的な意識で、誰も損をしない内容であるのにかかわらず「自分の考えと違うから」という理由で認知をしない人も多いですから、なかなか世の中の風潮を変えるのは難しそうですが、これから結婚に対する新しい意識が広がっていけば、社会の問題も少し片付くのではないかと思われます。
「結婚」というもののデメリットがなくなっていくことを願うばかりですね。
結婚をするメリット・デメリット

では、ここからは日本国内で結婚をすることのメリットとデメリットについて考えてみましょう。
結婚をすると、社会で得られる恩恵というものがいくつかあります。「心の支えができる」「家族、親戚に責められない」などの精神的な満足に加えて、社会保障や配偶者控除など、税金関係で得られるメリットも。結婚するまで別々に一人暮らししていたカップルには特に、経済的に有利な面があるでしょう。
現代では特に精神的なメリットが重視されていますから、「誰かが自分を待っている家に帰りたい」という人も多そうです。孤独感を埋められるパートナーを持てる上に、愛する人との子供を育てるときに一番恩恵を受けられる立場とは「結婚をする」ほか得られません。
ただし、結婚をすれば手放さなければいけない自由も、男女共通してあると思われます。現代は経済も不況ですし、収入が両働きではなければ、子供を育てて大学教育を受けさせるのに十分な収支は得られないでしょう。子育て支援も、片親にも両親にとっても今の社会では不足している状況です。
また、女性は特に、現時点では夫婦別性を取れないので、研究者などの名前がステータスと強く結びついていて、結婚などで姓が変わるとその功績を失ってしまう立場の人にとっては、結婚は大きな痛手になります。事実婚という形を取らない限り、苗字を保ったまま結婚をすることは今の法律では不可能です。
これらのような結婚に関するメリット・デメリットを考えた時に、どちらが自分にとって重みがあるのか、考えてみましょう。いま恋人と結婚を考えている人も、恋人の結婚願望を見て見ぬ振りをしている人にも読んでほしい無いようです。
では、まずは結婚するメリットについてみていきましょう。
結婚をするメリットは?
結婚をすることで得られる恩恵には、どんなものがあるでしょうか?独り身でいる時とは何が変わってくるでしょうか。
女性と男性でメリットが異なることといえば、昔ながらの結婚のスタイルで「働く夫と専業主婦の妻」である場合、収入面と生活力の保持という部分においてバランスが取れます。
1人だけで収入を賄えない妻と、1人だけでは生活を保てない夫であれば、双方の協力で質の良い暮らしができるでしょう。日本はまだ男女で収入の差があり、共働きでも男性の方が収入が多い場合がほとんどなので、妻がパートをして半日働き、半日家事をするという家庭も多そうです。
そこで夫婦お互いの希望と経済力、生活力で気持ちよく均衡を保てれば、生活は独身でいるよりも潤ったものになるでしょう。2人で協力してマイホームを購入したり、自分たちだけの新しい生活を作ることができます。
また、結婚をすると家賃や食費などを折半できます。コストパフォーマンスの面でも、結婚にはお互いの経済面を補助するメリットがあるのです。
これらのメリット一つひとつについて、具体的に紐解いてみます。
結婚はコスパが良い?
人によっては、「結婚は費用がかさむもの」というイメージを持っていることもあるのでは無いでしょうか。
たしかに、結婚式の費用やいわゆる「家族サービス」のために貯金を崩すなど、結婚において独身時代よりパートナーやお互いの家族のために「お金を使う」というイメージはあるかもしれません。
しかし、実際には結婚祝いをもらえたり、「家庭があるから」という理由で昇級の相談がしやすいということや、共働きならば家賃を折半できるなど、結婚して共同生活を送るとなると、様々なコストを抑えることができます。
家賃は都内だと1LDKで10万程度と割高ですが、共働きなら平均収入でもまかなえる金額です。少し都心から外れるだけでも家賃は下がりますし、お互いの仕事と希望の生活の質と照らし合わせて、2人だけの住処を決めるのも結婚の楽しみの一つだと思います。
食費も、普段外食をしていた一人暮らしの人からすれば、自炊をすると相当リーズナブルです。スーパーで買う食材も、一人分をちまちま買っていてはあまり経済的にはなりませんが、2人分かそれ以上の食材を買うと、スーパーによっては業務用の食材も置いていますから、作る人数が多いほどコスパは良くなります。結婚をするなら、夫婦両方とも料理の腕を磨くに越したことはありません。
結婚式やハネムーンの旅行を豪勢にすれば、結婚の初期費用はかなりかかりますが、長い目で見ると結婚生活は節約をしやすくなります。お互いの生活を協力しながら心地いいものにできれば、結婚は生活を潤すものになり得るでしょう。
結婚したら浮く税金はこれ
結婚をするとなった時に、知っておきたい税金の仕組みがあります。
例えば、「結婚式をしたらご祝儀などで現金をもらえたとしても贈与税が課されるのではないか」という心配。実は、冠婚葬祭に関わる御香典やご祝儀、日本特有の行事に関わるお祝いやお見舞いなどで夫婦がもらえる金品には、「110万の壁」を超えても贈与税が課されません。
「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」というものもあります。結婚、子育ての費用に関して、両親や祖父母から貰った金銭は、金融機関の営業所等を経由して「結婚・子育て資金非課税申告書」を提出することにより、1000万円まで贈与税が非課税になります。そのうち結婚に関して使える費用は300万円までなので、家族の助けがあれば結婚式のお祝いに関する税金対策は安心です。
また、「配偶者控除」と「配偶者特別控除」についても知っておきましょう。
「配偶者控除」とは、所得が38万円以下(給与のみ103万円以下)のパートナーがいて、主に家計を支えている納税者の所得が1000万円以下(給与のみの場合は1220万円以下)の場合に課税所得から最大38万円控除されるという仕組み。
「配偶者特別控除」とは、「配偶者控除」と異なり、他の人の扶養親族となっていない場合のみ、年間の所得金額が38万円〜123万円以下(給与のみ年収103万円〜201万6千円)で、納税者の所得が1000万円以下(給与のみの場合は1220万円以下)の場合に、納税者の年収に応じて最大38万円控除されるという仕組みになります。
「配偶者控除」も「配偶者特別控除」も、条件が細かく変わるので自分の状況に合わせてきちんと調べなければいけません。また、2018年度からいわゆる「パート年収の壁」というものが、配偶者特別控除の場合は給与のみの所得の場合に150万から201万に引き上げとなったので、これまで課税対象の所得だった141万〜201万の収入の人でも、納税者のパートナーの負担を軽減できるようになりました。
所得が年間1220万円以上の高額所得者にとっては負担が増えてしまいますが、生活を脅かすほどの負担ではありません。
また、国民年金でもパートナーが「第三被保険者(国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の主婦や主夫が対象)」の場合は保険料を負担しなくても良いのです。この点は結婚においてかなりの恩恵といえるのではないかと思います。
よって、総合して、どちらかがメインで働きどちらかがそこそこに働き家事などをこなすといったような役割分担をすれば、平均的な収入の家庭でも税金を多く払わなくて済むので、暮らしやすくなるのです。
そして、生命保険の保険金の受取人にもなりやすいので、不吉な話ですがもしものことがあった時は肩働きのパートナーが亡くなっても、非課税で相続人1人につき500万円の手当を受け取ることができます。
まさに結婚は「夫婦二人三脚」のシステムというわけです。税金もなんだかんだいって夫婦しっかり共働きをするのが良いと言われますが、片方がパートなどでゆったり仕事をしたいという場合でも家計の助けになれるのです。
参照:父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし|国税庁
結婚が決まったら要チェック!注意しておきたい税金面でのポイント – 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー – 税理士ドットコム
子供を育てるには結婚している方が合理的?
夫婦共働きの場合、特に妊娠、出産の子育てのステージがまず夫婦生活の大きなハードルになるでしょう。しかし、日本ではそのハードルも、未婚のカップルが子育てをするよりも、夫婦となって子育てをする方が良いと考えられます。
まず、子供が16歳になると38万円、19〜23歳未満なら63万円の「扶養控除」を受けることができ、税金が安くなります。このような扶養控除や配偶者控除は「事実婚」では該当しないので、子育てをするなら結婚をした方が税金がぐっと安く抑えられます。
また、出産をする妻が会社で働いている場合、産後休暇を取る際、月収の3分の2相当の「出産手当金」が健康保険組合から支給されます。それでも出産、子育てには費用がかかるため、これらでも十分に子持ちの家庭を賄える制度とはいえないのですが、事実婚の状態で出産をするよりははるかにメリットがあるといえるでしょう。
また、日本の社会は「未婚の親」もしくは「非嫡出子」というものに厳しい側面があります。都会ではシングルマザー、シングルファザーは珍しくありませんが、片親や両親がいない子供が社会で受ける苦痛は計り知れません。
これから先、結婚という制度が変わって欧米のように未婚のカップルの家庭が増えていくとしたら、これらのような税金の控除のシステムもよりフレキシブルになっていくかもしれませんが、今現在の社会では子供を育てようと思った時には入籍をしてしまうのが定石といえるでしょう。
結婚をするデメリットとは?

もし既婚の人から「結婚は最悪」などと聞いたことがあれば、結婚に関して特に思うことがないとしても、したくなくなるかもしれません。結婚の直前になって婚約が破談になる人も、意外と少なくはないのです。親の反対を受けてうつになる人もいます。結婚は陽のあたる面だけではないのです。
結婚をすることの「デメリット」とは、どんなものがあるでしょうか。結婚をしたことがない人は、とりあえず「結婚式の費用がかさむ」ことくらいは思いつきそうなものですが、家族や友人の結婚祝いなどである程度負担が軽減されたり、コストを抑えて「市役所や区役所で地味婚をする」というのも流行しています。
世の既婚の男女が感じている「結婚のデメリット」とは、コスト面ではないのです。実際、離婚原因も収入についての問題は下位の位置を占めています。一体、結婚において何が辛くなるのでしょうか?
おそらく男女でそのデメリットは異なってきますし、単純に毎日顔を合わせる相手である夫婦の仲が悪くなってケンカばかりになってしまうと、癒しの空間であるはずの家で毎日暮らしたり、帰ることすら苦痛になりそうなもの。
ここから、これらのような結婚のデメリットについて、考えられることを取り上げてみます。はじめに「結婚することで失うもの」などのデメリットを、男女別で掘り下げてみましょう。
男女で異なるデメリット
結婚をすることで被るデメリットは、男女で感覚が異なりそうです。男性はよく「自由を失う」と表現していることが多く感じますが、女性は「理想と違った」という意見をよく耳にします。
男性は、妻に財布を握られたり銀行口座や銀行印を差し押さえられるなどした場合、お金を自由に使えなくなることもありますが、女友達と二人で遊びに行ったり、他の女性を好きになることもできなくなるという「恋愛の自由」がなくなることもデメリットに感じている人は多いようです。
好きになる女性を妻だけに絞れないのなら、お互いのためにも結婚はしない方がいいのかもしれませんね。他の女性と肉体関係を作らなければ基本的に不倫にはならないものの、妻の信頼も社会的信用も失います。
また、夫婦生活が長くなると、お互いに対する恋愛感情が冷めたり、気持ちも異性への愛情から家族への愛情に変化し、相手を異性として見られなくなるということもあります。そうなると、お互いに浮気心が湧いてくるというもの。また、経済的に苦しくなったり、家事をどちらがやるかなどで揉めたりと、夫婦の間かピリピリする瞬間もこれからの結婚生活で何度も出てくるでしょう。
そういったタイミングでの男性側の不倫の衝動はよく知られていますが、女性としても同じことです。結婚が理想と違う結果となると、相手が視界に入るだけでもイライラするようになる、という話はよく耳にします。
また、結婚することで被る女性側のデメリットも、人によってはかなりの痛手となることもあります。男性ばかりにデメリットがあるわけではありません。
特に、男性よりもバリバリ稼いでいる女性は、「結婚したら家庭に入れ」などと言われたらどう思うでしょうか。どちらか一方しか選ばせてもらえないのなら、男を捨てて家庭よりも仕事を選びたいという人もいるでしょう。
それに、婿養子でもない限りは妻が夫側の戸籍に入るのが一般的ですが、そうして苗字が変わることでやらなければいけない手続きが沢山あります。
女性は姓が変わると手続きが面倒!
女性は結婚をすると、多くの場合は姓を変えなければいけなくなります。そのとき、女性の職によっては姓を変えるだけで立場を失うこともあり得ます。
例えば、研究者であった場合。大学によってルールは異なりますが、博士号などの学位記は戸籍名でなければいけません。また、業績は主に苗字を頼りに加算されていきますから、名前と研究の業績は結びついています。そこで結婚して苗字が変わっても、研究論文において旧姓を使用することは、主に公的機関において認められません。
最悪の場合、新しい姓で研究をするとなると位置からまた業績を積まなければいけなくなります。そのため、女性研究者は結婚をしても事実婚にしたり、夫側が苗字を変えることもあります。たとえ姓を変更してもそのまま業績を引き継げたとしても、世界中に自分の婚歴が露わになってしまうので、プライベートを他人に公開したくない人にとっては辛いものとなりそう。
日本では夫婦別性を取ることができません。また、妻側が苗字を変えることが一般的とされています。苗字を変えることは、たとえ研究者ではないとしても、様々な手続きをしなければいけないので、大変面倒です。
パスポートの変更手続きもしなければいけませんし、クレジットカードやスマホの契約をはじめとし、その他あらゆる契約の名義変更も必要です。結婚してから数ヶ月は手続きの変更など事務作業に追われるでしょう。結婚してからしばらく経てば落ち着きますが、それにプラスして家事などすべて一任されるなどしたら、「独身の方が楽だったな」と思うでしょう。
また、「結婚してから夫が息子みたいになる」というケースもちらほら。夫がただ世話をしないといけない存在になってしまうと厄介なので、飴と鞭を使い分けるなど夫への家事指導などの「教育」は、甘やかさずにキッチリやらなければ後々地獄をみることになります。
夫のお小遣いの相場はいくら?
男性の結婚することのメリットで辛いのは「自由に遊べなくなる」ということもあるかと思います。その原因に、「お小遣い制」という家庭のシステムも一因となっていそうです。
夫婦で生計を同じくしても、共働きなら銀行口座は別々にすれば各々それなりの自由は保障されます。片方が専業主婦(主夫)の場合はもう片方が家計を支えなければいけませんが、浪費家だったり家計の管理を相手に任せっきりにしていると、「月〇〇円は自由に使っていいけど、あとは貯金しよう」ということでお小遣い制になるパターンもあるでしょう。
そのお小遣いは主に趣味や友達と飲むなどの交友費に充てられると考えられますが、この金額が少ないと、自由に友達と飲みにも行けなくなるかもしれません。
新生銀行の調査によると、妻が働いていないサラリーマンの平均的なお小遣いは2018年度で39,836円となっています。弁当ではない場合、昼食代もこのお小遣いの中から捻出しなければいけないこともあるようです。
1ヶ月で自由に使えるお金が4万円とは、独身時代に比べるとなかなか厳しいのではないでしょうか。
しかし、一般的に夫のお小遣いの目安としては「夫婦の収入の一割程度」だそうです。また、交通費や昼食代などの生活にかかる費用を家計から支払っているとすると、月4万円も自分の自由に使える、と思えばそれほど苦ではないかもしれません。
参照:新生銀行グループ「2018年サラリーマンのお小遣い調査」
結婚相手と上手くいかなくなると…
結婚にまつわる一番の苦痛といえば、「夫婦仲が悪くなること」です。「この人しかいない、一生愛している」と誓った相手と毎日険悪なムードで喧嘩ばかりしてはお互いにストレスが半端なく溜まりますし、最終的に愛が冷めてしまえば、世間に対しては仲良く繕っても家に帰るとお互いいないものと扱うような「仮面夫婦」という状態になることもあり得ます。
倦怠期というものは結婚した夫婦以外にも、長く付き合っている全てのカップルに訪れる試練です。恋愛経験がある程度あれば、倦怠期は乗り越えられるということを知っていたり、辛抱強く相手と向き合うこともできそうですが、経験がないほど倦怠期になると「もうお互いに愛せないかも」と絶望することもありそう。
また、お互い仕事のピークであったり、子育てをしていると、毎日ヘトヘトで相手の話を聞くことすらできなくなってしまうこともあるでしょう。会話がなくなることが夫婦の最大のピンチを招きます。「できる限りはコミュニケーションを取りたい」とたとえ思っていても、激務から帰ってきて気づいたらそのまま寝落ちしていたということもあり得ます。
そういう時には、日頃から相手に感謝を伝えていればまだ良いですが、常に横暴に振る舞うなど相手のストレスになる振る舞いをしていると「離婚」の2文字が相手の頭をよぎることになりそうです。そして、一番最悪なのは夫婦のコミュニケーション不足が原因で不倫をしてしまうことです。
不倫をすると最悪の結末に
夫婦仲が冷めたから、夫が構ってくれなくて、妻といると癒されなくなって、などという理由から、誠実なタイプだとしてもキッカケがあれば不倫をしてしまう可能性があります。
中には、「バレなければ大丈夫」と思っている人もいるでしょう。しかし、男性の浮気や不倫は、嘘を見抜くことに長けている女性に対して本音を隠し通すことが難しく、また最終的には罪悪感や後ろめたさによって自分から暴露してしまう人もいます。
浮気が原因で離婚をした場合の慰謝料の相場は100万円前後。離婚をするかどうかで金額が変わりますが、浮気相手がそそのかしてきた場合など、証拠が揃えば浮気相手にも慰謝料を支払わせることになりますから、結婚相手と別れて浮気相手とくっつこうとしても到底無理な話でしょう。
慰謝料、つまり罰金のペナルティーは重いものですし、社会的信頼も失ってしまいます。友達も離れていくでしょう。そうなると、ストレスのあまり浮気相手とお互いを逆恨みし合うことになりそうです。
妻側も、離婚につながると、また名字を変更しなければならなくなります。あらゆる手続きの上で「バツイチになった」ということを思い知らされることになりますし、夫婦ともに、結婚の手続きの大変さとは、離婚の手続きの辛さは比べ物にならないそうです。顔も合わせたくない相手と手続きのために会わないとといけなくなりますし、両親にも申し訳ない気持ちになるでしょう。
また、引っ越しをしたり財産をどう分け合うかとまた揉めたりなど、険悪な状態で離婚をするとなると精神も貯金もすり減ります。
本当にどうしようもない時以外は、離婚をするよりはカップルセラピーを受けるなどして、夫婦としてどう向上していけば良いのか、と根気強くお互いが努力をする方がいいかもしれません。カップルの喧嘩が長引いてしまう原因は「どちらも意固地になって折れない」ということがありますが、不倫が原因ともなるとたとえ謝られても許せない気持ちの方が大きいでしょう。
「どうやったら相手を許せるのか」ということに心を悩ませる人もいます。数年という単位の長い時間をかけないと不倫を許すというのは難しそうですがその間にどちらかの心が折れてしまえばおしまいです。
夫婦の形とはそのカップルの数だけありますが、苦しいことや許しがたいことも乗り越えないと得難い絆というものもあるでしょう。ただ、もし本当に無理なら一度は別れるという形をとってもいいと思います。もしそれでもお互いを愛し合いたいという気持ちがあれば、離婚してからも恋人として再出発をするという手段も一つの選択肢です。
結婚してもずっとラブラブでいるためには?
こうして、結婚に関する意味合いとメリット・デメリットについて考察してきましたが、何よりも理想的なのが「生活面でも精神面でもギブアンドテイクのバランスが取れたカップル」になること。
「カップルは3年で愛情が冷める」といわれることもありますが、結婚して何十年経ってもお互いを愛し合っている夫婦もいるのです。そしてそのようないつまでもラブラブな夫婦の秘訣とは、「愛情を言葉にして伝える」ということ。
日本人は仲の良い夫婦でも「愛してるよ」と口にするのが照れ臭くてできない、という人も多いと思います。しかし、言葉に出さなければ伝わらない愛情というものもあります。いくら相手のために行動をしていても、言葉がなければわからないものなのです。
また、感謝の言葉を伝えることも大切なこと。毎日家事をやって家の清潔さや居心地の良さを保っている妻に対して「毎日暇そうだ」などという暴言ばかり吐く夫も中にはいます。そうなると、いくら収入があったとしても相手とは人間性の面で釣り合いが取れていません。
夫婦お互いに、「毎日お仕事お疲れ様」「頑張ってくれてありがとう」「愛してるよ」「かっこいい」「綺麗だよ」など、歯の浮くようなセリフでも言った方が良いのです。自分の性格では無理だと思っても、自分個人の人格はどうでもいいからとにかく言った方が良いのです。
言葉一つだけで人間関係は変わるものですし、「人を大切にする」ということはいくら恥ずかしくても前向きな言葉を相手にかけてあげることでもあります。言葉には行動や態度が伴っていなければ虚しいだけですが、「言霊」という言葉もありますし、「愛している」と口に出せば出すほど気持ちもついてくるものです。
また、メリットデメリットに関して、今の時代結婚は損得を考えてするよりも、一番愛する相手と結ばれることが何より幸せなのだと思います。たとえ勢いで結婚するとしても、心から好きな人とお互いに「愛している」と言える立場がどれだけ貴重で幸せなことなのか考えましょう。タイミングを逃さずに、プロポーズしてください。
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