大切な恋人やパートナーの浮気・不倫は、何よりも辛いもの。信じていた人に裏切られるだけでなく、「相手が自分以外の相手に惹かれたこと」は自信を失うきっかけにもなるため、精神的に大きなダメージとなります。
付き合って間もない恋人なら、まだ諦めて別れるという選択も容易かもしれません。しかし、数年付き合った相手や結婚相手の浮気や不倫は、相手との絆が育っている分、別れるかどうかの決断は難しいものになるでしょう。
浮気や不倫をされたという事実は、関係解消をする真っ当な理由です。たとえ相手が「別れたくない」と縋り付いてきても、「別れる」ことに関しては決定権はこちらにあります。
反対に、浮気や不倫をされても別れたくないと思う場合、相手の愛情がまだこちらに向いているのかどうかが問題になってきます。具体的にいえば「相手の愛情は自分だけに向いているのかどうか」という問題です。
浮気や二股、不倫があったということは、相手は少なからず自分以外の誰かに魅力を感じ、関係を持ちたいと思ったということにほかなりません。これを踏まえた上で、あなたは相手との今後の関係をどうしたいと願うでしょうか?
この記事では、恋人の浮気や二股、そして結婚したパートナーの不倫への対処法をお話しします。自分の心と向き合い、未来をどうするべきか一緒に考えていきましょう。
恋人の浮気・二股の対処法!

まずは、未婚の浮気や二股の対処についてお話しします。
言葉の定義として、「浮気」とは
気まぐれに異性から異性へと心を移すこと。決まった妻や夫、婚約者などがいながら、他の異性と恋愛関係を持つこと。
引用元:浮気(うわき)とは? 意味や使い方 – コトバンク
とされています。この「他の異性と恋愛関係を持つこと」については意見が分かれるところであり、他の異性と手を繋いだら浮気なのか、体の関係を持つまではセーフと捉えるのかは人それぞれです。
ある調査では、他の異性と「二人きりで出かける」こと、また「手を繋ぐ」ことの境目あたりで男女の半数が「浮気である」と判断することがわかっています。
参照: 【浮気の定義】男女213人に調査|エキサイト株式会社のプレスリリース
曖昧な定義を避けるため、この記事では「意図的に他の異性と触れ合うこと」から浮気とみなすことにしましょう。
一方、二股は「交際を始めた相手に別の恋人がいる」「交際している相手が自分達の関係を保ったまま他の相手とも交際を始めた」という状況。どちらも自分に対して一途ではないため、辛い恋愛に変わりありません。浮気の場合と同じように、発覚した時点で別れるか関係を継続するのか、まず自分の中で決めましょう。
別れると決めた場合も、関係を続けると決めた場合も、どちらも気分の良い道ではないでしょう。辛い気持ちを最小限にするためにも、ここから心の準備をしていきましょう。
まずこれからどうしたいか考えよう
付き合っている彼氏や彼女の浮気や二股が発覚したら、その瞬間は頭が混乱し、思考が停止してもおかしくはないほど衝撃的かと思われます。
すぐには「これからどうしたいか」と冷静に考えることはできないかもしれません。まずは客観的に状況を整理できるようになるまで、交際相手に会わず一人で考える時間が必要です。
親しい友達がいれば、話を聞いてもらい、自分の気持ちを落ち着かせるための力になってもらいましょう。第三者の目線で状況を判断してもらうことで、浮気や二股が勘違いである場合はそれに気がつくこともできます。
冷静になったら、考えることは二択です。相手と別れるか、不誠実な人であることをわかった上で交際を続けるかどうか、自分のスタンスをどちらにするか決めましょう。
浮気や二股の確固たる証拠がある場合は、相手に別れ話をする正当な理由があります。たとえ「別れたくない!」と相手に縋りつかれたとしても、恋人を裏切った人にかける情けはありません。
一方、交際を続ける選択をするのは、別れるよりもずっと複雑で難しいことかもしれません。一度でも相手に裏切られたという事実があれば、相手のことを許しても「また浮気するんじゃないか」と不安に感じる瞬間が何度も訪れるでしょう。
どちらを選ぶにしても、辛い決断に変わりはありません。しかし、どちらにしても自分の気持ちや精神的な安定を犠牲にすることのないようにしてください。
浮気されたけどまだ好きな気持ち
恋人の浮気や二股が発覚したからといって、すぐに相手に愛想を尽かすという人は少ないのではないかと思われます。怒りや悔しさを覚えたとしても、まだ相手に対する好きな気持ちが残っているはずです。
だからこそ浮気や二股をされると辛いのですよね。しかし、恋心は麻薬にも似た強力な催眠術のようなもので、正常な判断を狂わせてしまうものでもあります。
よって、「浮気される」という、普通は許し難いような仕打ちを受けていても、恋心がまだ残っていれば、自分の心を犠牲にするような判断をしかねません。
そのため、浮気や二股をされてとても悔しい、苦しい気持ちと、相手のことを好きで手放したくない気持ちがせめぎ合って混乱しているときは、冷静さを取り戻せるまで、しばらく相手と距離を置くほうが良いでしょう。
相手と距離を置けば、恋人とその浮気相手や二股相手がより距離を縮めてしまうと思うかもしれません。しかし、恋人が自分から離れていけばその恋はそれまでですし、逆に自分から離れていくことで相手が名残惜しさを感じ、反省することもあるかもしれません。
自分にとって最良の判断をするために、心が回復するまで時間をかけましょう。
本当に浮気や二股があるか事実確認をする
付き合っている人が浮気をしていた、または他にも関係を持っていると知ればとてもショックなものですが、ひとまずそれが事実であることを確認しなければいけません。
自分の勘違いである可能性を一切排除してからではなければ、ただの「早合点」である場合もありますし、証拠もなく問い詰めれば相手に逃げ道を与えることになります。あるいは、こちらがメンヘラ(精神的に不安定である)という烙印を押されてしまうでしょう。
浮気や二股を確かめるには、ざっくりと以下の方法があります。
- 本人からの証言がある
- はっきりとした証拠がある
まずは、本人の証言です。「浮気しました」「二股をしています」という自白があれば、恋人は事実として裏切り行為をしたと認めることになるので、勘違いにはなり得ません。
浮気や二股の証拠については、それだけでは曖昧なものになる可能性があるので、それ単体で早とちりはしないようにしたいところ。
たとえば、「恋人が他の異性とLINEをしていた」だけでは、浮気や二股の証拠にはなりません。友達や仕事関係の人とも連絡を取ることは、誰にでもあるはずです。
しかし、その内容で「好きだよ」「早く会いたいね」という恋人同士のようなメッセージがあった場合は、浮気やの二股の証拠となるでしょう。勝手に相手のスマホを覗いてはいけませんが、裏切りの事実がわかったなら、相手に「他に付き合っている人がいるの?」と問い詰めましょう。
浮気かどうか曖昧なグレーゾーンといえるのは、元恋人と連絡をとっていた場合。もし元恋人と仕事などで繋がりがあり、事務的に連絡を取らざるを得ないなら仕方ありません。しかし、特に用もないのに連絡を取り合い続けているのは不思議ですよね。
普通の倫理観を持っている人なら、現恋人ができた時点で元恋人との繋がりは断つものです。相手の元恋人も、復縁を望んでいない限りは遠慮して、たとえ連絡したいことがあっても最小限にするはず。
そこで友達のように連絡を取り合い続けるのは新しい恋人であるあなたに対して無遠慮ですから、裏切りの黒い感情を予感するのも当然のことです。
いずれにせよ、「恋人が浮気/二股をしているかも」と感じたときは、まずは証拠を押さえましょう。LINEのやりとりのほか、周りの友達からの証言も証拠になります。それらの証拠を元にして、相手に問い詰めて裏切りの事実確認をしてください。
裏切り行為を問い詰める方法
浮気や二股が確固たる事実であると証明するためには、浮気/二股相手から直接あなたに「別れてください」などと連絡があったり、デート現場や濡れ場を目撃するなどの確証が必要です。
しかし、曖昧な証拠しかない場合でも、恋人に直接問い詰めることで事実を確かめられるでしょう。
恋人の裏切り行為について問い詰めるときに注意したいのは、相手にはぐらかされたり逆ギレされて、その場がうやむやになってしまうこと。
こちらが感情的、高圧的であるほど、相手も警戒心を高めて攻撃的になりやすいため、あくまでも冷静に話し合いをする必要があります。
参照:パートナーの浮気を上手に問い詰める方法 | Akai探偵事務所
また、問い詰める前にこちらのスタンスを決めておくことも大事です。別れたいのか関係を立て直したいのか、自分の心が決まってから問い詰める体制を作りましょう。
そして、問い詰める時には証拠など「浮気や二股を疑う理屈」が必要です。勘だけでは不十分なので、浮気相手とのLINEのやりとり、物的証拠、相手の嘘の裏付けなど、誰もが納得できるような「疑う理由」を突きつけられるように準備してください。
問い詰め方ですが、「浮気してるでしょ」と詰め寄るのではなく、まずは「自分がこの関係をどうしたいか」という切り口から始めましょう。以下に例を示しておくので、自分の状況や言葉に置き換えるなど、あくまで参考にして、恋人と話をしてみてください。
「こないだ忙しいから会えないって言ってたけど、最近すれ違いが多いよね。私に話せないことがあるなら、このまま関係を続けていけないと思う。」
「このピアス私のじゃないんだよね。他の人と関係を持ちたいなら、なんでまず私に別れ話をしないの?」
別れるときのルール決め
相手の浮気や二股をきっかけに破局することを決めるのは、とても悔しいですし腹立たしいもの。ですが、別れる道を選ぶということは、これから先は相手のスケジュールに縛られずに休日に自分の好きなことができますし、本当の自分らしさを追求する自由を得るということです。
ですが、別れる相手に未練を感じてしまうのも仕方のないこと。「恋人を他の異性に取られた」とも言い換えられる事態なので、愛がなくても傷ついたプライドを満たすために恋人を取り戻したい、という気持ちにもなるでしょう。
しかし、相手と家族や友人以上の絆があるわけではないなら、自分を裏切った相手と関係を続ける価値はありません。自分の心を傷つけ続けるかもしれない人とは、離れるのが正解です。
別れた後に未練がましく連絡を取り合ったり、ずるずると関係を引きずってしまうと、新しい恋にも進めません。そのため、相手の悪事を原因に別れるなら、相手の連絡先をブロックする、最悪の場合引っ越しをするくらいは相手との繋がりを断つことをおすすめします。
こちらから連絡ができないように連絡先を消去し、SNSもブロックし、絶対にやり取りができない状況を作りましょう。「絶対に連絡をしない」というルールを自分の中で決めて、相手との関係を遮断することに努めてください。
縋りつかれた時は
こちらから相手に「別れたい」と言ったとき、相手は「別れたくない」「やり直したい」とこちらに縋り付いてくることがあるかもしれません。
浮気の原因がどのようなものであったとしても、相手が心から反省しており、これからも恋人でいたいと頼み込んできたら、情が湧いて許してしまう人もいるでしょう。
浮気もケースバイケースであり、恋人がすすんで他の異性と関係を持ちたがった場合から、浮気相手の方から誘われて流されてしまった場合まで様々です。
しかし、もしも恋人の浮気を許して関係をやりなおすという選択をした場合、恋人には自分に対してどんな償いができるのかを考えてみましょう。
お金で解決できないことの方が良いはずです。浮気の代償にと高価なアクセサリーや服などを貰っても釈然としないのではないでしょうか。相手がお金持ちの場合、反省を伴わずにプレゼントだけで浮気の罰を乗り切ることができてしまいます。
「償い方」は考えることさえ難しいこと。婚姻関係なら誓約書を書くなどの方法もありますが、口約束の恋人関係では、「2度と浮気をしない」という約束も口約束に過ぎません。
ただ、本当に相手とお互いに別れたくないと思っているなら、「婚約をする」という手段があります。
結婚の約束をし、婚約指輪を贈り、両親に挨拶をするなど第三者に「婚約中」であることを示した場合、婚約中に不貞行為を働いた場合は、婚約破棄と共に相手に対し慰謝料請求ができることがあります。
すると、浮気のペナルティは「本物」になるため、浮気した恋人が本気で誠意を見せるなら、婚約をすることが唯一償いとしてできること、かもしれません。
あるいは、婚姻関係に準じた内縁関係、いわゆる「事実婚」の状態でも不倫に対して慰謝料請求が可能なことがあります。
とはいえ、浮気をきっかけにした婚約はあまり嬉しいものではないので、まずは浮気した恋人がどんな償いをするつもりなのかを聞いてみるところから始めましょう。
「裏切り行為」を許せる?
「浮気をされた」という記憶は心理的な痛みになり、これから先様々なシーンで思い出すことになるかもしれません。復縁しても、楽しいデートの最中にフラッシュバックする可能性もあります。
それに、浮気症の恋人が自らすすんで浮気をした場合、今後もまた別の相手と浮気を繰り返すかもしれません。
「浮気を許す」ということは、「浮気をされたトラウマを我慢する」ということです。それを耐えても価値があると思える相手なら良いですが、それで自分の心が傷ついてばかりの場合は、別れを選択する方が良いでしょう。
相手との関係性次第でもあります。付き合って1年も満たないような、まだお互いのことをあまり知らない関係性で浮気があった場合は、相手はあなたにとって相応しい恋人ではないといえるでしょう。
しかし、数年以上という長い期間付き合ってきた恋人同士の場合、少なからず倦怠期も経験してきたこと思われます。お互いがどこかのタイミングで「飽きて」しまったこともあるはず。
もし恋人に対して甘えきっていて、他の異性との関係を試す機会があったら、軽い気持ちで乗ってしまう人もいるかもしれません。そうして浮気に走ってしまったことを恋人が後悔してる場合、あなたは相手を許せるでしょうか。
他の人と恋愛をした恋人と、これまでと変わらない関係を続けていくのは難しいことです。相手のことを信頼していける確信がなければ無理でしょうし、相手も今後ずっと罪悪感を抱えて過ごすことになります。
それでもお互い恋人関係を続けたいという気持ちがあるなら、まずはしばらくの間お互い一人になった方がいいかもしれません。顔を見合わせた時に気まずい思い出が蘇らなくなるまで、距離を置いてみてはいかがでしょうか。
そこでフェードアウトしてしまう関係なら所詮それまでということ。それでもまた引き合うことがあれば、二人には切っても切れない縁があるということです。
一度の過ちと浮気症の違いとは
浮気した恋人を許せるかどうかは、その浮気が一度きりである場合と、その人の性質として今後も繰り返すかどうかも関わってくるでしょう。
一度の過ちとしての浮気が起こるとしたら、泥酔して羽目を外した時、恋人と大喧嘩した直後など、「正気ではなかった時」。「2度と浮気をしない」という反省がまかり通るのは、普段なら浮気をするという選択肢を思いつきもしない人に限ります。
しかし、いわゆる「浮気症」である人が反省をするのは難しいかもしれません。元から一人の恋人だけにずっと誠実でいることができない性格の場合、今後も浮気を繰り返すことでしょう。
あるいは、一途な性格だったのに、一度の浮気の経験が癖になってしまうこともあるかもしれません。それが環境やストレスなどの何らかの原因による一過性のものなら良いですが、自制が効かなくなると性依存症と呼べる状態になってしまうかも。
性依存症は浮気だけでなく、盗撮や痴漢など犯罪行為の原因ともなる病気なので、恋人の浮気が強迫的な衝動が元になっている場合、カウンセリングや依存症治療の専門医を一緒に探してあげた方が良いこともあるでしょう。
参照:性依存症(セックス依存症)とは? | 新橋ファーストクリニック
結婚相手の不倫はどうする?

ここからは結婚相手の不倫にどのように対応すべきかを考えていきましょう。
これまでお話しした恋人同士の浮気や二股は、自分も相手も未婚である限りは、自分達の間だけで対処するしかない問題でした。
しかし、婚姻とは、言うなれば法的な「縛り」であるため、不倫のような婚姻関係を破綻させるような行動を取れば、離婚や慰謝料請求において裁判を起こすことができます。
すると、婚姻関係にあり、パートナーの不倫に対して離婚を求めたり慰謝料請求を行う場合、法的に通用するような確実な証拠を集める必要があります。
配偶者がいるのに他の異性と肉体関係を持つ不倫は、恋人の浮気よりもペナルティが重いのは確実です。しかし、結婚は他人同士の恋人と比べると「家族関係」でもあるため、恋人の破局と比べて離婚の選択は簡単ではありません。
子供がいる場合はなおさらです。本人たちの離婚はただの「破局」でも、子供にとっては「家庭崩壊」。離婚の選択は当人たちだけの問題ではないのです。子供含めた家族全員にとって最善の選択をしなければいけません。
とはいえ、子供が独り立ちするまで夫婦関係が冷え切ったまま、仮面夫婦を演じるのもしんどいことでしょう。
結婚の形もカップルの数だけあると同時に、不倫への対処法もカップルごとに異なります。配偶者の不倫があった場合、まずは何から対処していくべきなのかをお話ししましょう。
結婚における浮気と不倫の違い
婚姻関係において「浮気」と「不倫」は何が違うのか、ご存じでしょうか。
浮気とは、
気まぐれに異性から異性へと心を移すこと。決まった妻や夫、婚約者などがいながら、他の異性と恋愛関係を持つこと。
引用元:浮気(うわき)とは? 意味や使い方 – コトバンク
と国語辞書で定義されています。対して不倫は、
道徳にはずれること。特に、配偶者以外と肉体関係をもつこと。また、そのさま。「不倫な関係」「不倫の末路」
引用元:不倫(フリン)とは? 意味や使い方 – コトバンク
以上のように、「浮気」が「他の異性と恋愛関係を持つこと」であるのに対し、「不倫」は「配偶者以外と肉体関係をもつこと」という違いがあります。
微細な違いですが、恋愛関係と肉体関係とは、区別することができますよね。情ありきの恋愛関係と、恋心がなくても成立する肉体関係。
そして、婚姻関係において法的にNGとされているのは「配偶者以外と肉体関係を持つ」こと、つまり不倫なのです。
婚外恋愛もご法度のように思えますが、配偶者が他の異性と恋愛関係を持ったとしても、そこに肉体関係がなければ不貞行為=不倫と判断されず、慰謝料請求の対象ではなくなる可能性があります。
あくまでも法に従ってペナルティを課すことができるのは不倫であり、心の浮気は限りなくグレーゾーンであるということ。
不倫相手と肉体関係を持たない「プラトニック不倫」なるものも増えているようですが、その場合は「他の異性との交際のために家庭を顧みなくなった証拠」という、肉体関係以外の証拠が必要になると覚えておきましょう。
参照:プラトニック不倫とは? | リーガライフラボ
不倫は離婚の正当な理由になる
離婚は、時には「自然消滅」という事態も起こる恋人関係の破局と異なり、婚姻関係にある二人のどちらか一方だけの欲求だけではできない手続きです。
双方の同意がなく、協議で離婚できない場合には、離婚調停のためには弁護士をつけて家庭裁判で戦わなければいけない可能性があります。たとえ自分が結婚相手と離婚したいと思っても、相手が拒否した場合は離婚が認められないのです。
しかし、結婚相手に以下のような要因があった場合は、裁判離婚で離婚判決を下してもらます。
- 相手方に不貞行為があったとき
- 相手方から悪意で遺棄されたとき
- 相手方の生死が3年以上明らかでないとき
- 相手方が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な理由があるとき
上記のリストの一番上にあるように、不倫は離婚の正当な原因として認められるのです。ただし、不倫した側の配偶者は「有責配偶者」と呼ばれ、その側から離婚請求をすることはできません。
弁護士に依頼するべき時とは
もし、自分のパートナーが不倫をしたと分かって、離婚に踏み出すために弁護士を雇うとしたら、いつのタイミングから相談をするべきでしょうか。
もしも、不倫がなく性格の不一致などの理由で離婚をしたい場合は、話し合いの上で双方が合意の上で離婚届にサインをする「協議離婚」を目指し、まずは弁護士なしで自分達だけで話し合いをすることが薦められています。
参照:離婚問題を弁護士に依頼するタイミング | 離婚弁護士相談広場
しかし、配偶者の不倫の問題で離婚をしたい時、あるいは配偶者や不倫相手に対し慰謝料請求をしたい時には、できる限り早めに弁護士に相談する方がよいとされています。
なぜなら、自力で証拠集めや慰謝料請求の総額を決めようとすれば、不十分な証拠集めをしてしまったり、本来の相場に見合わない慰謝料を見積もってしまうかもしれないから。
加えて、離婚や慰謝料請求をする際に、不倫をした配偶者から「やっていない」とはぐらかされたり、「お金がないから慰謝料を払わない」などと支払いを拒否されたときに、適切な反論や訴訟の仕方がわからず、協議が混乱してしまうでしょう。
でも、不倫が分かった時点で弁護士を雇うことで、離婚裁判で通用する証拠の集め方や、正しい額の慰謝料請求など、不倫の被害者であるこちら側に有利に進めることができます。
もしもパートナーに不倫をされ、相手や不倫相手にも慰謝料請求をしっかりしようと思った時には、できるだけ早めの段階で弁護士に相談しにいきましょう。
費用の捻出方法について
離婚弁護士を雇いたいと思った時、ネックになるのがその費用です。
共働きである場合は自力で費用捻出ができるかもしれませんが、収入が低かったり、専業主婦で働いていない場合などは、弁護士を雇えないと考え、不倫されても我慢してしまうかもしれません。
しかし、日本には「法テラス(日本司法支援センター)」という、法律問題における国の援助のシステムがあります。
法テラスでは「代理援助」という、弁護士費用の立替払いを行ってくれる援助の制度があり、条件を満たせば、金銭的に余裕がない人も弁護士を雇い、離婚や慰謝料の問題をスムーズに解決することができます。
参照:弁護士費用の仕組み、救済措置について解説!|MIRAIO
代理援助を利用できる条件とは、以下の通りです。
- 資力が一定額以下であること(a. 月収が一定額以下である b.保有資産が一定額以下である)
- 勝訴の見込みがないとはいえないこと
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
引用元:民事法律扶助業務|法テラス
まず、「月収や保有資産が一定額であること」という条件では、離婚問題など夫婦間の紛争の場合は配偶者の収入や資産は加算されないので、自分自信の収入や保有資産が定められた額以下であれば、代理援助の条件を満たすことができます。
また、「民事法律扶助の趣旨に適すること」というのは、ただの個人的な仕返しのためだけの訴訟や、宣伝のためなど、法的制度を利用する正当性のない理由ではない、ということ。
このように、法テラスの代理援助の制度を利用すれば、お金がなくても弁護士を雇うことができるので、泣き寝入りをする必要はないのです。
弁護士に相談するときも、報酬の支払いについて、代理援助を利用したいという旨はあらかじめ相談しておきましょう。
証拠集めのコツと注意点
パートナーの不倫による離婚や慰謝料請求のためには、パートナーが不倫相手と肉体関係があったことを証明する証拠を集めなくてはいけません。
たとえば、不倫相手との性行為を撮影した動画、音声データ、写真や、配偶者もしくは不倫相手が「不倫しました」と自白したことが明らかな書類や音声データなど。
他には、以下のように配偶者が不倫相手と関係している証拠が有効となる場合があります。
性交渉の際に使う避妊具や道具など
メール・ダイレクトメッセージ・チャット
ホテルの領収書・サービス券
手帳・スケジュール帳・日記
エコー写真・産婦人科の診療報酬明細書
調査報告書(探偵事務所・興信所)
SNS・ブログ・メール
手紙・メモ
誕生日カード・メッセージカード
クレジットカードの明細書
交通ICカードの利用履歴
相手からもらったプレゼント
通話履歴
カーナビの履歴
GPS記録
住民票写し
子どもの血液型・DNA鑑定
第三者の証言
この中で、できるだけ「不倫相手と肉体関係があった」ことを証明する証拠、またそれを推察できるような証拠も多く集めましょう。不倫相手の身元がわからない場合は、探偵や弁護士に調査を依頼することができます。
注意したいのは、ただ「不倫相手とデートをした証拠」だけでは「不倫=肉体関係を持った」証明にならないこと。他に肉体関係があった証拠と合わせて提出することもできますが、デートの証明だけでは不十分です。
「不倫があった」ことを示すためには、あくまでも不倫相手と肉体関係があったことを証明しなければいけません。現時点でその証拠がない場合は、弁護士や探偵と相談して調査をし、確実な証拠を掴みましょう。
その証拠は使えない?
不倫の証拠集めで気をつけたいのは、まず第一に「証拠の偽造をしてはいけない」ということ。
当たり前のことのようですが、証拠を偽造するなどの不正が発覚すると、こちらの離婚や慰謝料請求が取り下げられてしまいます。
その上、犯罪とみなされるとこちらが不利な立場になるどころではありません。なかなか証拠を掴めないとしても、証拠を偽造することは絶対にしてはいけません。
また、不正アプリを用いて配偶者のスマホやPCを覗いたり、不倫相手の家に不法侵入してカメラや盗聴器を仕掛けるのは犯罪行為なので、強力な証拠が得られたとしても裁判では無効となってしまうこともあります。
他にも、
- 画素数の低いカメラで撮った写真
- LINEやSNSなどスマホやPCのスクショ
- LINEやSNS、文章のコピペ
上記のような証拠は、改ざんが可能なデータは証拠としては弱くなるので、それら単体では不倫の証拠としては不十分です。
不倫の証拠集めをする際には、弁護士や探偵に相談し、アドバイスをもらったり調査を依頼する方が確実です。自分が不正行為や犯罪行為を働くことで、裁判で不利になってしまうため気をつけましょう。
参照:証拠の集め方ややってはいけないこと | 探偵社FUJIリサーチ
今後の人生設計を考えよう
パートナーの不倫によって離婚をすると決めた場合、離婚や慰謝料請求の手続きを進める他にしておきたいのは、これからどんな生き方をしたいか、今後の人生を考えることです。
不倫をしたパートナーへの恨みや嫌悪感で頭がいっぱいになってしまうかもしれませんが、復讐心だけで毎日を過ごすのは精神的に健康とはいえません。
心の休息のためにも、まずは離婚が成立して慰謝料を得たあとには、何がしたいかについて考えてみましょう。
自分の生活を立て直すことも大切ですが、前向きな姿勢でいたいところです。正義が果たされて、悪いパートナーと別れることができれば、少なくとも自由にはなれるはず。旅行に行って羽を伸ばすプランなど、好きな計画を立ててみてはいかがでしょうか。
また、引越しを考えている場合は、家の間取りや、インテリアコーディネートを考えるのも良いでしょう。
そして、もっと先の人生設計も考えてみましょう。離婚をすればバツイチになってしまうとはいえ、世界にバツイチの人なんて溢れるほどいるものですし、バツイチになればもう新しい恋ができないというわけでもありません。
少なくとも、異性を見る目は磨かれているはずです。恋愛をするとしたら、過去よりも良い相手を選ぶことができるでしょう。
将来やりたいことがひとつあるだけで、不倫、離婚、慰謝料請求などのしんどい事柄を乗り越える活力になります。心が沈んでいると前向きなことを考えるのも難しいかもしれませんが、時には一息ついて好きなことを計画してみましょう。
子供がいる場合は
離婚を経験することは誰に取っても少なからず辛いことになりますが、それは夫婦間だけの問題ではありません。子供がいる場合、離婚は必ず子供に影響を及ぼします。
まず両親の不仲な姿を見ること自体ショックなことですから、精神的なストレスはその時点で増えていくと考えられます。
そして、実際に両親が離婚をした場合、苗字が変わることで周囲に親の離婚が知られて気まずい思いをする可能性もあります。しかし、必ずしも離婚によって子供の姓を変える必要はないので、子供の学校生活や社会生活に配慮をしたい場合は、離婚をする親だけ苗字を変えることもできます。
また、離婚により親と過ごす時間が減ってしまうことや、経済状況が悪化することで生活レベルが下がることも。
20歳以下の子供には離婚した親も養育費を払う義務がありますが、養育費はあくまでも学費をはじめとした子供のための費用なので、親が生活費として手をつけてはいけません。
離婚してシングルになった場合は、働かなくても生きていけるほどの資産がない限りは、専業主婦/主夫だったとしても生活のために仕事をする必要があります。
すると、仕事をしている間は子供と過ごす時間を作れなくなってしまうので、子供はストレスのため情緒に影響が出る可能性も。
いずれにせよ、環境の変化は大人にとってもストレスな出来事ですし、ストレスへの対処を知らない子供にとってはかなりの衝撃になり得ます。離婚の選択は、子供にとっても良い選択かどうかを考えた上で決断しましょう。
参照:離婚が子供に及ぼす影響は | リーガライフラボ
離婚をするか、結婚を続けるか
ここまでは「離婚をする」こと前提で不倫の対処について話を進めてきたのですが、そもそもパートナーの不倫が発覚したとしても、必ずしも離婚が最善の解決策ではない場合もありますよね。
心からパートナーのことを愛しているなら、不倫はとてもショックなことですし、同時にそう簡単にパートナーのことを諦められない気持ちにもなると思われます。
不倫があった上で結婚を続ける選択も辛いものですが、人によっては離婚よりも価値のある選択である可能性もあるでしょう。
また、子供にとっても、両親が道徳的な人間であり、虐待やDVなどが行われていない限り、離婚は子供の心理に悪影響を及ぼすことはよく知られています。
不倫は配偶者に対する裏切りであり、不倫をされた側は自尊心も傷つく、最低な行為です。しかし、その不倫の理由や状況によっては、「許す」という選択肢を持っても良いのではないでしょうか。
パートナーが不倫相手と本気で恋をしている場合は絶望的とはいえ、その不倫が本意ではなかった場合や、過ちだったと認めて謝罪をしている場合には、パートナーの話に耳を傾けてみましょう。
同時に、どれほど辛い思いをしたか、パートナーに伝えましょう。
不倫をされたことで精神的に強いストレスがかかり、日常生活に支障をきたすことがあったり、夫婦仲が悪くなったまま修復できない場合、またパートナーが不倫を繰り返すような場合は、離婚をした方が良いかもしれません。
しかし、そうではない場合、家族関係を継続することで、乗り越え難い問題を乗り越えたことによる強い絆が生まれることもあるでしょう。
どのような選択が最善かは、人次第です。自分にとって、また子供にとってどのような結果が望ましいか熟考した上で、答えを出してください。
誓約書を書かせる
パートナーに不倫をされても、許して夫婦関係をやり直すという選択をした場合、心配なのは「また不倫を繰り返されたらどうしよう」ということではないでしょうか。
一度許すとつけ上がるタイプの配偶者ならなおさら不安でしょう。今後平穏な夫婦生活を送っていくためにも、「もう2度と不倫をしない」という約束は確実に守ってもらいたいもの。
夫婦関係は恋人関係とも異なる、固い誓いに基づいた関係のため、口約束では不十分かもしれません。そんな時には、誓約書または合意書と呼ばれる書類を作成しましょう。
誓約書や合意書は、仕事の契約書と同じような法的効力があります。「2度と不倫をしない。した場合はこのようなペナルティを受ける」という内容の書類を作成すれば、万が一不倫が再発した場合、慰謝料請求などの手続きが容易になるでしょう。
たとえば、「今回に限り不倫を許すが、破ればペナルティを課す」という合意書に記載したい内容は以下の通りです。
- 不貞行為の事実と、不貞行為を認める文言
- 慰謝料を払う場合は金額と支払方法
- 愛人との不倫関係をやめること
- 今後不倫相手と連絡したり会うことの禁止
- 合意書の内容に違反した場合のペナルティ
このような書類があれば、保険となりひとまずは安心できそうです。法律事務所などに書面作成を依頼すれば、より法的拘束力の強い約束を作ることができるでしょう。
「自分がどうしたいか」が大事
恋人の浮気やパートナーの不倫は、被害者にとってはとても辛いもの。学業や仕事にも影響が出るようなストレスも受けますし、自分の自信も削ぎ落としてしまう、最悪な事態ともいえます。
しかし、ショックな気持ちが回復するにつれ、悲しみは「なんで自分の毎日がこんな相手に左右されているんだろう」という怒りに変わっていきます。
それが呆れになり、無関心になるところまでが、一つの心の回復のプロセスと言えるでしょう。
後にも先にも大事なのは、自分のスタンス、自分のあり方です。浮気や不倫をするような人へのご機嫌伺いや気遣いは不要で、「自分はどうしたいか」という自分の意見や主張を押し通す姿勢が大事です。
恋人やパートナーを裏切ることに罪悪感を抱かない人、または精神的に子供な人は、十中八九責めると逆ギレします。自分の立場を弱くしたくないからそのように吠えるのですが、正論ひとつでボコボコにできるのでそうしてあげましょう。
あるいは、「このような小物、説教する価値もなし」と思ったら、ただ捨て置いても良いでしょう。相手のためになる行動をする必要はないので、自分のためになることだけを考えてください。
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